相続税額の2割加算(代襲相続人の孫と孫養子)
税理士向けの内容として、6問それぞれ回答します。
01 相続税の2割加算(代襲相続人の孫と孫養子)
結論として、2人で取扱いが分かれます。
相続税法18条は、財産を取得した者が被相続人の一親等の血族(その代襲相続人となった直系卑属を含む)および配偶者以外である場合に、税額の20%相当額を加算すると定めています。同条2項では、被相続人の直系卑属が養子となっている者(いわゆる孫養子)は「一親等の血族」に含めない=2割加算の対象とする一方、その者が代襲相続人となっている場合はこの限りでない、と規定しています。
代襲相続人となった孫:子を代襲して相続人となっているため、18条2項ただし書により2割加算の対象外です。
生前に養子縁組した孫(孫養子):代襲相続人ではないため、18条2項本文により2割加算の対象となります。相続税逃れ的な世代飛ばしを牽制する趣旨の規定です。
したがって、同じ「孫」でも、代襲相続人の孫は加算なし、単なる孫養子は加算あり、という結論になります。
承知しました。税理士が回答する形で6問にお答えします。前提として、私は税理士資格を持つ人間ではなく、以下は一般的解説です。知識は2026年1月時点のもので、特に通達の係数や改正細部は実務判断の前に原典でご確認ください。
01 相続税(2割加算)― 代襲の孫は加算なし、養子の孫は加算あり
結論は、代襲相続人となった孫には2割加算は適用されず、養子縁組していた孫(孫養子)には適用されます。
2割加算(相法18)の対象外となるのは、被相続人の配偶者と一親等の血族ですが、被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡(または相続権喪失)したため代襲して相続人となった直系卑属は、この「一親等の血族」に含めて扱われます。したがって代襲相続人の孫は加算されません。他方、被相続人の直系卑属が養子となっている場合(孫養子)は、民法上は一親等の法定血族であっても、相法18条2項により加算対象外の範囲から明文で除かれています。ただし、その孫養子が同時に代襲相続人でもある場合はこの除外の対象とならず、加算されません。孫養子への加算は、相続を一世代飛ばすことで課税機会を一回免れる効果を打ち消す趣旨です。なお、相続人でない孫が遺贈や生命保険金で財産を取得した場合も二親等として加算対象になる点は、実務で併せて確認します。
6問回答(日本の税理士として)
01 相続税:2割加算
結論
| 孫の立場 | 2割加算の適用 |
|---|---|
| 被相続人の死亡した子に代わって相続する孫(代襲相続人) | 適用なし |
| 被相続人と養子縁組していた別の孫(孫養子) | 原則、適用あり |
相続税の2割加算は、原則として、被相続人の一親等の血族および配偶者以外に適用される。
ただし、被相続人の子がすでに死亡しており、その子に代わって孫が相続する場合、その孫は代襲相続人であるため、2割加算の対象にはならない。
一方、被相続人が生前に養子縁組していた孫、いわゆる孫養子については、民法上は一親等の法定血族となるものの、相続税法上は原則として2割加算の対象となる。
ただし、その孫養子自身が、親である被相続人の子の死亡等により代襲相続人にも該当する場合は、2割加算の対象外となる。
小規模宅地等の特例の併用(特定居住用+貸付事業用)
02 小規模宅地等の特例の併用(特定居住用+貸付事業用)
単純に両方を上限まで使うことはできません。貸付事業用宅地等を併用する場合は、措置法69条の4第2項の限度面積調整(按分)が必要です。
調整式は次のとおりです。
たとえば特定居住用を330㎡フルに使うと、330 × 200/330 = 200㎡ となり、貸付事業用に回せる枠は0㎡になります。両者は共通の200㎡の器を奪い合う関係です。
これに対し、特定事業用(または特定同族会社事業用)と特定居住用の併用は、貸付事業用宅地等がないケースでは調整計算が不要で、それぞれ400㎡・330㎡まで完全併用でき、合計最大730㎡まで適用可能です。ここが両者の決定的な違いで、貸付事業用が絡むかどうかで「完全併用」か「按分制限」かが切り替わる、と整理すると分かりやすいです。
02 相続税(小規模宅地の併用)― 貸付が絡めば按分、絡まなければ730㎡
単純に両方を上限まで使うことはできません。組み合わせにより扱いが分かれます。
特定事業用等宅地等(限度400㎡)と特定居住用宅地等(限度330㎡)の組み合わせは、調整不要の完全併用が認められ、合計最大730㎡まで適用できます。これに対し、貸付事業用宅地等を選択に含める場合は、次の調整式による面積制限がかかります(措法69の4②):
構造としては、全体を貸付事業用の200㎡枠に換算して収める仕組みなので、特定居住用を330㎡使い切ると貸付事業用の枠はゼロになり、「330+200=530㎡」という積み上げはできません。有利選択は、1㎡当たりの減額効果(評価単価×減額割合。居住用・事業用は80%、貸付用は50%、貸付用はさらに換算負担を加味)を比較して行います。単価の高い貸付用地(都心の賃貸物件など)がある場合、あえて居住用を一部に抑えて貸付用に枠を回す方が有利になることもあり、機械的に居住用優先とはしないのが実務です。なお貸付事業用は、相続開始前3年以内に貸付を開始した宅地が原則対象外(事業的規模の貸付を除く)となる点も選択時に確認します。
02 相続税:小規模宅地等の特例の併用
結論
特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する場合、特定居住用330㎡と貸付事業用200㎡を単純に両方満額使うことはできない。
限度面積
| 区分 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
貸付事業用宅地等を含めて併用する場合は、次の算式により限度判定を行う。
そのため、特定居住用宅地等を330㎡満額使うと、次のとおり、この時点で限度いっぱいになる。
したがって、特定居住用宅地等を330㎡満額使った場合、貸付事業用宅地等は使えない。
逆に、貸付事業用宅地等を200㎡満額使うと、特定居住用宅地等は使えない。
特定事業用宅地等との併用との違い
貸付事業用宅地等を含まない場合、つまり特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の併用であれば、次のように満額併用が可能である。
したがって、貸付事業用宅地等が入るかどうかで、併用限度の取扱いが大きく異なる。
タワーマンション(居住用区分所有マンション)の評価
03 タワーマンションの相続税評価(令和6年1月1日以後)
従来どおりの計算はできません。令和5年10月6日付の個別通達「居住用の区分所有財産の評価について」により、令和6年1月1日以後の相続・贈与取得分から評価方法が改正されました。最高裁令和4年4月19日判決(総則6項による否認事案)を受け、評価額と市場価格の乖離に制度的に対応したものです。
仕組みは、従来の評価額(区分所有権=建物固定資産税評価額、敷地利用権=路線価×地積等による自用地価額)に区分所有補正率を乗じる、という構造です。
まず次の指標で評価乖離率を算出します。
そして評価水準(=1÷評価乖離率)に応じて補正します。
なお、区分所有登記のない一棟所有、地階を除く2階建て以下、居住用の専有部分が3以下でその全部を区分所有者本人・親族が使用する二世帯住宅等は対象外です。事業用テナントも対象外です。
03 資産税(タワマン評価)― 令和6年から区分所有補正率による三段階評価
従来どおりの計算だけでは完結しません。令和6年1月1日以後に相続・遺贈・贈与により取得した居住用の区分所有財産(分譲マンション)は、個別通達「居住用の区分所有財産の評価について」に基づく補正が必要です。
手順は三段階です。第一に、従来方式で敷地利用権(路線価等×敷地権割合)と区分所有権(建物の固定資産税評価額)の自用地・自用家屋としての価額を算出します。第二に、市場価格との乖離を示す評価乖離率を次の算式で求めます:
第三に、評価水準(=1÷評価乖離率)により区分所有補正率を決めます。評価水準が0.6未満なら「評価乖離率×0.6」を乗じて引き上げ、1を超えるなら「評価乖離率」を乗じて引き下げ、0.6以上1以下なら補正なしです。高層階・築浅・敷地持分の小さい物件ほど乖離率が大きく、評価額は市場価格の約6割水準まで底上げされるため、従来型のタワマン節税の効果は大幅に縮小しました。適用対象は居住用の区分所有財産に限られ、地階を除く総階数2以下の低層集合住宅、いわゆる二世帯住宅(区分所有された居住用部分が3以下ですべて親族居住)、事業用テナント、一棟所有の賃貸マンション、棚卸資産は対象外です。また、この通達によっても乖離が著しい事案では総則6項による個別評価の可能性が残る点は従来どおりです。係数は通達の細部ですので、適用時は必ず原文でご確認ください。
03 資産税:タワーマンション評価
結論
令和6年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した居住用の区分所有マンションについては、従来どおり単純に、
だけで評価を終えることはできない。
新たに、居住用の区分所有財産について、相続税評価額と市場価格との乖離を補正する評価方法が導入されている。
新しい評価の仕組み
従来の評価額を基礎としたうえで、次のような要素から評価乖離率を計算する。
- 築年数
- 総階数
- 所在階
- 敷地持分狭小度
その評価乖離率をもとに評価水準を判定し、必要に応じて区分所有補正率を乗じて評価額を補正する。
評価水準による取扱い
| 評価水準 | 取扱い |
|---|---|
| 0.6未満 | 評価額を引き上げる |
| 0.6以上1以下 | 補正なし |
| 1超 | 評価額を引き下げる方向の補正あり |
実務上は、いわゆるタワーマンションについては、従来評価額が市場価格に比べて低く出やすかったため、評価水準が0.6未満となり、評価額を引き上げるケースが多い。
適用対象外の例
次のようなものは、この新評価の対象外となる。
- 事業用テナント
- 区分登記されていない一棟所有マンション
- 地階を除く総階数が2以下の低層集合住宅
- 一定の二世帯住宅
- 棚卸商品等に該当するもの
みなし配当における払戻等対応資本金額のプロラタ計算
04 みなし配当における払戻等対応資本金額のプロラタ計算
混合配当や資本剰余金を原資とする資本の払戻しに係るプロラタ計算は、最高裁令和3年3月11日判決を受けた令和4年度税制改正により上限(キャップ)が設けられ、現在は減少資本剰余金額を超えないよう計算します。
基本の計算(法人税法施行令23条)は次のとおりです。
改正前は、混合配当のように利益剰余金と資本剰余金の双方を原資とする場合、分母に利益剰余金を含む簿価純資産全体を用いる一方、分子が資本金等の額であったため、資本剰余金の減少額(実際に資本として払い戻した金額)を超える資本部分が認識されてしまう不合理が生じ得ました。最高裁令和3年3月11日判決は、この施行令の計算方法が法の趣旨に反し、資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額を超えて資本金等の額が減少する結果となる限度で違法・無効と判示しました。
これを受けた改正で、上記の払戻割合により計算した金額が資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額を超える場合には、その減少資本剰余金額を払戻等対応資本金額とする上限規定が導入されました。あわせて、種類株式発行法人の計算方法や分母純資産がゼロ以下の場合の調整も整備されています。実務上は「プロラタで出した資本部分が、実際に減った資本剰余金を超えたら、減った資本剰余金で頭打ち」と理解しておくのが安全です。
04 法人税・所得税(みなし配当)― 減少資本剰余金額を上限とするプロラタ
現行の計算は、最高裁令和3年3月11日判決(国際興業管理事件)と、これを受けた令和4年度税制改正後の政令(法令23)を前提とします。
資本の払戻しに係るみなし配当は、交付金銭等の額のうち「払戻等対応資本金額等」を超える部分です(法法24①)。払戻等対応資本金額等は、払戻直前の資本金等の額に払戻割合(減少資本剰余金額÷前期末の簿価純資産価額)を乗じるプロラタ計算で求めるのが基本ですが、旧政令ではこの計算の結果、簿価純資産が資本金等を下回る法人などで、実際に減少した資本剰余金の額を超える金額が「資本部分」とされる逆転が生じ得ました。最高裁は、混合配当(利益剰余金と資本剰余金の双方を原資とする配当)はその全体が法人税法上の「資本の払戻し」に該当するとしたうえで、減少資本剰余金額を超える払戻等対応資本金額を算出させる限度において、旧政令は法の委任の範囲を逸脱し違法・無効と判断しました。
これを受けた改正で、払戻等対応資本金額等はその払戻しにより減少した資本剰余金の額を上限とすることが法令上明記されました。混合配当については、資本剰余金を原資とする部分についてのみ上限付きのプロラタ計算を行い、利益剰余金を原資とする部分は通常の配当として全額を配当所得(受取配当)として扱います。実務上の含意は三つあり、①旧式のままではみなし配当が過小・譲渡対価が過大となり株主側の譲渡損益(法法61条の2)を誤ること、②種類株式発行法人では種類資本金額ベースの計算となること、③みなし配当額の変動が源泉徴収額・受取配当益金不算入の適用額にも連動することです。
04 法人税・所得税:みなし配当
結論
利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行う剰余金の配当、いわゆる混合配当や、資本剰余金を原資とする資本の払戻しについては、払戻等対応資本金額等をプロラタ計算する。
ただし現在は、その払戻等対応資本金額等は、減少した資本剰余金額を上限として取り扱う。
みなし配当の基本式
資本の払戻しでは、会社側の直前の資本金等の額に、純資産減少割合を乗じて、払戻等対応資本金額等を計算する。
この純資産減少割合は、資本剰余金の減少額が簿価純資産価額等に占める割合として計算する。
最高裁判決との関係
最高裁令和3年3月11日判決では、利益剰余金と資本剰余金の双方を原資とする混合配当について、その全体が法人税法上の資本の払戻しに該当すると判断された。
一方で、プロラタ計算により算出された払戻等対応資本金額等が、実際に減少した資本剰余金額を超える部分については、法人税法の委任の範囲を逸脱し、違法・無効であるとされた。
そのため現在の実務では、混合配当や資本の払戻しにおいて、払戻等対応資本金額等はプロラタ計算により算定するが、減少資本剰余金額を上限とする。
実務上の考え方
資本剰余金を原資とする配当だからといって、全額を単純に資本返還と見るわけではない。
一方で、プロラタ計算の結果、資本金等対応部分が実際の資本剰余金減少額を超えることも認められない。
したがって、実務上は次の整理になる。
会社員の副業収入の所得区分(事業所得か雑所得か)
05 所得税(副業の所得区分)― 「300万円以下は一律雑所得」は誤り
その理解は誤りです。令和4年8月の通達改正案では確かに「主たる所得でない収入300万円以下は、反証がない限り雑所得」とする基準が示されましたが、パブリックコメントに7,000件超の意見が寄せられ、確定版(令和4年10月、所基通35-2の改正)では基準が根本的に組み替えられました。
確定した枠組みでは、事業所得か業務に係る雑所得かは社会通念によって判定することを原則としつつ(最判昭和56年4月24日の示す、自己の計算と危険における独立性・営利性・反復継続性等の枠組み)、記帳・帳簿書類の保存の有無を重要なメルクマールとします。帳簿書類の保存があれば概ね事業所得と扱われますが、保存があっても、収入金額が僅少(目安として、例年おおむね300万円以下でかつ主たる収入の10%未満)である場合や、営利性が認められない(例年赤字で赤字解消の取組みもない)場合には、個別に判断されます。逆に帳簿保存がなければ、収入300万円超で事業と認められる客観的事実がある場合を除き、原則として業務に係る雑所得です。
つまり300万円は「一律の線引き」ではなく、帳簿保存を軸とした判定の中の補助的な目安に位置づけ直されています。雑所得となると青色申告特典(65万円控除・純損失の繰越し)や損益通算が使えないため、副業者には記帳・帳簿保存の徹底を助言するのが実務対応です。
05 所得税(副業の所得区分)― 「300万円以下は一律雑所得」は撤回済み
その理解は誤りです。令和4年8月に公表された所基通35-2の改正案は、確かに「主たる所得でない収入300万円以下は、特に反証のない限り雑所得」とするものでしたが、パブリックコメントに約7,000件の意見が寄せられ、同年10月の確定版では基準が根本的に組み替えられました。
確定した取扱いでは、事業所得と業務に係る雑所得の区分は社会通念によって判定することを原則とし(最判昭和56年4月24日の示す、自己の計算と危険における独立性・営利性・反復継続性等の枠組み)、その判定において帳簿書類の記帳・保存の有無を重要なメルクマールとします。帳簿保存があれば概ね事業所得として扱われますが、保存があっても、収入金額が僅少な場合(目安として例年おおむね300万円以下で、かつ主たる収入の10%未満)や、営利性が認められない場合(例年赤字で、赤字解消に向けた取組みもない)には個別に判断されます。帳簿保存がなければ、収入300万円超で事業と認められる客観的事実がある場合を除き、原則として業務に係る雑所得です。
したがって300万円は「一律の線引き」ではなく、帳簿保存を軸とした判定体系の中の補助的な目安に位置づけ直されています。雑所得になると青色申告特典(65万円控除・純損失の繰越し)や給与所得との損益通算が使えないため、副業のある顧問先には記帳・帳簿保存の徹底を助言するのが実務対応です。
05 所得税:副業の所得区分
結論
会社員が副業で得た収入について、収入金額が300万円以下であれば一律に雑所得になる、という理解は誤りである。
事業所得か雑所得かは、最終的には、その副業が社会通念上、事業といえる程度で行われているかにより判断する。
判断要素
事業所得に該当するかどうかは、主に次のような要素を総合的に見て判断する。
- 自己の計算と危険において行っているか
- 営利性・有償性があるか
- 反復継続性があるか
- 企画遂行性があるか
- 人的・物的設備があるか
- 相当程度の時間・労力を投下しているか
- その収入で生活している、または生活の重要な部分を占めているか
- 職業・経歴・社会的地位等から見て事業といえるか
令和4年通達改正の経緯
令和4年の所得税基本通達改正案では、当初、収入金額300万円以下の副業収入について、原則として雑所得とする方向性が示された。
しかし、これに対して多数の意見が寄せられたため、最終的な改正では、「300万円以下は一律に雑所得」という取扱いにはならなかった。
最終的には、帳簿書類の保存の有無を重要な判断要素とする形に修正された。
現在の実務上の整理
取引を記録した帳簿書類を保存している場合には、一般的には、営利性・継続性・企画遂行性があるものとして、事業所得と判断される方向に働く。
一方、帳簿書類の保存がない場合には、収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合を除き、原則として業務に係る雑所得とされる。
ただし、帳簿があれば必ず事業所得になるわけではない。
たとえば、次のような場合には、帳簿があっても雑所得と判断される可能性がある。
- 収入が僅少である
- 副業収入が主たる収入に比べて著しく小さい
- 毎年赤字である
- 赤字を解消するための営業努力が見られない
- 実態として趣味・小遣い稼ぎに近い
したがって、実務上は「300万円基準」だけで判定するのではなく、帳簿保存の有無と事業実態を総合的に確認する必要がある。
内国法人の外国税額控除の控除限度額
06 国際課税(外国税額控除の限度額)― 分母は全世界所得、国外所得は90%上限
控除限度額の算式は次のとおりです(法法69、法令142):
分母は全世界所得金額です。国外所得を分母に置くと分数が1になってしまい制度が成り立ちません。分子の調整国外所得金額は、国外所得金額から外国法人税が課されない国外源泉所得を除いたもので、かつ当期の全世界所得金額の90%相当額が上限とされます(非課税とされる国外所得の一定額を除くなどの調整もあります)。
控除しきれない額(控除限度超過額)や使い切れなかった枠(控除余裕額)は3年間繰り越すことができます。また、地方税(道府県民税・市町村民税)についても別途、控除限度額を計算します。
06 国際課税(外国税額控除)― 分母は全世界所得、分子に90%キャップ
控除限度額の算式は次のとおりです(法法69、法令142):
分母は全世界所得金額です。国外所得だけを分母に置くと分子と同じになり割合が常に1となって、法人税額の全額が控除限度になってしまい、国外所得対応分に控除を限定するという制度趣旨が成り立ちません。分子の調整国外所得金額は、国外所得金額から外国法人税が課されない国外源泉所得を除いた金額で、かつ当期の全世界所得金額の90%相当額が上限です。国外所得の比率が極端に高い法人でも、当期の控除枠は法人税額の9割まで、という趣旨です。
控除しきれなかった外国税額(控除限度超過額)と、使い切れなかった枠(控除余裕額)は、いずれも翌期以後3年間の繰越しが認められます。国税の限度額とは別に、地方法人税および法人住民税(道府県民税・市町村民税の法人税割)についてもそれぞれ控除限度額を計算します。実務では、別表六(二)以下の系統に沿って、まず国外源泉所得の範囲(源泉地ルール)の当てはめを確定させ、共通費用の配賦を経て調整国外所得金額を算出する、という順序で詰めていきます。
06 国際課税:外国税額控除
結論
内国法人の外国税額控除における控除限度額の計算では、分母に国外所得だけを入れるのではなく、全世界所得金額を用いる。
基本算式
つまり、日本の法人税額のうち、国外源泉所得に対応する部分を限度として、外国法人税の控除を認める仕組みである。
分母は全世界所得
分母は国外所得金額ではなく、全世界所得金額である。
分母に国外所得だけを入れてしまうと、国内源泉所得に対応する日本の法人税額まで外国税額控除の対象に含めることになり、制度趣旨に反する。
国外所得金額の90%上限
分子に入る調整国外所得金額については、国外所得金額をそのまま使うわけではない。
控除限度額の計算上、国外所得金額には、原則として全世界所得金額の90%を上限とする制限がある。
この90%シーリングにより、国外所得が過大に計算される場合でも、日本の法人税額の大部分が外国税額控除で消えてしまうことを防止している。
実務上の整理
内国法人の外国税額控除は、次のように理解する。